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「受験というのは向き・不向きがあって、それが生徒さんの能力のすべてではありませんよ」というのが、王者会からいらした家庭教師の先生が最初におっしゃったことでした。親として、そんなことは重々承知している、と申し上げたいところでしたが、実際には母親の私の態度や言葉尻に、そうでもないと思われたのかもしれません。そばで聞いている次男の気持ちを慮ってくださったのでしょう。

長男のときにも、それなりに苦労したつもりではいたものの、次男でまさか、こんなに大変な目に遭うとは思ってもみませんでした。同じ私立小学校に通い、担任の先生からも次男の受験には覚悟するようにとは言われていたのですが。

長男は国語が苦手で、そこだけを手当すれば、あとは自分でやったものでした。塾のお友だちをライバル視して、その負けん気が強すぎると注意を受けたぐらいです。のんびりした次男を、それと比較して扱いやすい子だとすら考えていました。長男が通っていた同じ塾についていけなくなり、何と言っても通わなくなってしまったのが5年生の秋です。

長男はいわゆる御三家校の一つに進み、国立の医学部を目指すと言います。性格的なこともあり、前々から家業は次男に継がせたいと考えていましたので、では慶応に行かせたい、と思うのは父親の願いでもありました。子供が慶応の附属に受かると、銀行の融資の額が違ってくる、などと言うのです。本当かしらと笑ってしまいましたが、大手銀行の担当の方たちも慶応出身者です。普通部や中等部の労作展や説明会に足を運ぶにつれ、特に母親の私の慶応熱はヒートアップしてまいりました。

塾をやめた頃の次男の成績は、しかしとても慶応どころではありませんでした。長男との差を思うと、暗澹たる気持ちに陥っていたことは確かです。そこを救ってくださり、一から十まで面倒みていただいた王者会の先生に、心から感謝いたします。

塾はやめましたが、先生のご指導に従い、学校の(私立なので、それなりのレベルの)授業を活用し、また夏休みや冬休みには塾のよい講習会を選んでくださいました。模試の成績を分析して、サピ生にも負けないカリキュラムを組んでいただいたので、安心して基礎力を充実させることができました。

先生は長男にも声をかけ、次男に算数を教えさせる、また次男の方から長男を相手に、解法を説明させるよう、指導してくださいました。そのことで兄弟の絆も強まり、弟の合格を長男がとても喜び、親の嬉しさもひとしおでございました。さらに学校の先生がびっくりしたこと(笑)。もちろん最近の様子から、だいじょうぶと思っていました、と言ってくださいましたが。

慶応合格という目的を明確に持ち、むしろ塾をドロップアウトしてしまったことで、慶応に特化した指導を受けることになり、集中して対策に取り組んだことが一番であった、と思います。ありがとうございました。

(川崎市在住 慶応普通部・鎌倉学園中学・中等部一次 合格)