高校生になるまで、娘は自分の学校が大好きでした。幼稚園の頃から女の子ばかりで家族のように過ごしてきたのですから当然です。ところが大学入試を目指して勉強を始めたとたん、模試の成績のあまりの悪さにショックを受けたのです。

もとより幼稚園お受験以来、受験勉強というものを経験してないのだから、試験に慣れてないのかもしれません。それでも一応は名の通ったブランド校なのに、所詮は時代遅れのお嬢さん校だったかと悲しく思いました。
そんな中で先生にお願いしたのは、本気で慶應を目指していたからではありません。慶應はあくまで憧れ、最終目標のつもりでした。そんな言い訳なしには、お恥ずかしくて、とても成績など見せられません。
けれども先生はにこやかに模試の資料をめくり、「では、慶應が第1志望ということで」とおっしゃったのです。「○○○○校の生徒さんでしょう。カソリック系ですから、少なくとも英語の底力はあります。試験で点数を取る方法を知らないだけですよ」
そして英語力があれば、慶應は有利だとのこと。
私どもにすればヒョウタンからコマみたいなもので、「まさか、ほんとに慶應・・・」と呆然としてしまいました。
それからは英語を中心に全科目、点数の取り方を特訓していただいたそうです。すると、一人娘で打たれ弱いところがあったのが、どうやら調子に乗ってまいりました。
「なーんだ、そういうことか」などと言い出し、過去問に取り組む頃には自信も出てきた様子に、やや胸をなで下ろしました。
1年足らずの間、先生には見ていただきました。娘にとって、ぎりぎり間に合うタイミングで現れてくださった先生です。同じ学校のお友達に、「慶應なんて、すっごーい」とひどく感心され、それがまた嬉しかったようです。運の強い子なのだと、イエス様にも先生にも感謝しております。

(東京都大田区、女子。慶應義塾大学文学部、明治学院大学文学部、その他合格)