先生にお願いした当初は、まさしく親子でパニック状態でした。5年生から6年生に上がる頃でしたが、テストの点がずんずん落ちていったのです。
こんなはずでは・・・いったい、どういうこと。
思い返せば、家の中は修羅場でした。ガミガミ怒鳴る私は、子供の目にはまさに地獄の鬼のように映っていたことでしょう。
「大人の女の先生なんかイヤだ。キャッチボールできるような、大学生のお兄ちゃんじゃなきゃ、来てもらいたくない」
息子のそんなワガママは、思えばママ鬼が2人になったら大変だ、ということだったに違いありません。けれども先生がいらっしゃると、家の空気が変わりました。
先生は冷静にテストの内容を分析され、「いったい、どういうこと」か示されました。
あと何点取れれば目標に近づくか。しかし苦手意識のある算数だけに気を取られ、本人を追いつめていないか。各科目でわずか数点ずつ上げれば、ぐっと偏差値が上がる。また受験生全部の正答率と本人の正誤をチェックすると、算数が目標点に届かないのは、難問ができないからではない。できるはずの基本問題で十数点も落としている。そもそも、通っている塾のテストでの極端な難問が、目指す慶應入試に必要なのか。
子供のお尻を叩いていた私が、実はテスト内容を精査せず、偏差値や合格可能性%など表面の部分ばかり見ていたことに気づかされました。
「小学生の男の子というのは結局、お母様のために頑張ってるんですよ。お母様が隣りでパニックを起こせば、男の子は気が動転して物を考えられなくなります」と、本人のいないとき、お電話で叱られました。
そうだったのか、と親子間での感情の悪循環にも気づき、それからは徐々に算数のミスが減っていったように思います。そしてプロフェッショナルそのものの先生を前にして、本人は子供じみたワガママを言わなくなりました。
先生は子供の顔を眺め、「こんな賢そうな顔した子が、落ちるわけないでしょ」と陽気に言ってくださいました。根拠のある分析とともに、無条件の太鼓判も嬉しかったようです。
また、塾のテキストの取捨選択を先生にお任せしたことで、計画的に落ち着いて勉強に取り組むことができました。さらに2次面接、実技の指導はもちろんのこと、本番試験や願書提出時における学校敷地内外での態度まで細かく注意していただき、もしそんなことを知らずに受験していたらと考えると、怖い気がいたします。結果として先生のおっしゃった通り、どこかしら「当たり前のように」中等部合格を手にすることができました。

◎(横浜市港南区、男子。慶應中等部、慶應湘南藤沢(SFC)中、公文国際中、逗子開成中合格)