a1380_001132_m

青学が第一志望でした。明るいけれど、気の弱いところのある息子にはぴったりの学校だと納得していました。ただ、塾の成績は今ひとつ伸びず。そんなとき息子が突然、慶応を受けたい、と言い出したのです。

最初は何の冗談かと、主人も私も取り合いませんでした。ところがやはり親子ゆえでしょうか、主人の眼がらんらんと輝きはじめたのです。「本人がこれほど言うのだし」、「モチベーションを上げる意味だけでも」などと理由をつけながら、父親の方が乗り気になっていました。

それもそのはずで、小さいながらも事業を営んでいる身にとって「三田会」という響きは垂涎の的だそうです。子供が慶応の付属校に入ったというだけで、融資の額が変わるとか。まさかと思いますが、大手の銀行の担当者だって慶応卒ですから…。

塾の面談では、存外に慶応を勧められました。受かるから、というよりも気持ちの切り替えに、という理由だったようです。塾をやめようか、という話も出ていたので、引き留める意味もあったのでしょうが、父親も本人も、すっかりその気になってしまいました。

ただ当時、苦手な理科を見ていただいていた家庭教師の先生には、渋い顔をされました。もう六年生になる春に、現実的ではない、と。確かに、成績がよいから志望を上げるのではなく、その逆なのですから、一理も二理もあったと思います。

が、主人は王者会を見つけ出し、こちらにお願いしよう、と決めました。最終兵器だなどと言い、面談の前から入れ込んでいる有様で、心配いたしましたが、杞憂でした。

王者会の先生は単なる家庭教師というより、まさに慶応受験のためのコンサルタントでした。主人に言わせると、企業が税理士なしで税務を行うのが不可能なのと同じだ、と。慶応に入れることを、親にとっての事業?と感じていたのかもしれません。

コンサルタントと申しましたのは、ただ問題の解き方を「教えて」もらって魔法のように成績が上がるというようなことでなく、普段の学習、生活、受験に際しての細かい注意などで、取りこぼしのまったくない指導を頂戴したからです。

息子に言わせますと、その問題の解き方を教えていただくときにも、その問題をどう解くのかだけではなく、その問題の重要性、今やることの意義、一般的にどういった注意が必要か、という点を踏まえて教えてくださったということです。主に算数と理科を見ていただきましたが、秋から直前にかけては二次対策も含めて全科目お任せの状態でした。

それがよい結果に繋がったものと、家族で確信しております。合格を知り、一年前を振り返りますとまさに嘘のよう、夢のようです。何事もまず志のないところには、始まらないのだ、と思い知りました。本当にありがとうございました。

(横浜市在住 慶応中等部・青山学院・成蹊中学 合格)